トリノ・オリンピックが閉幕した。日本人選手にとっては残念な結果になった種目も多かったが、選手個人がそれぞれベストを尽くした結果なのだから、とやかくは言いたくない。
スピードスケート男子500Mの及川選手は0.13秒差、スピードスケート女子500Mの岡崎選手は0.05秒差、アルペンスキー男子回転の皆川選手は0.03秒差でそれぞれメダルを逃した。この結果をマスコミの報道では、「惜しい」という表現が多かったが、本当にそうなのかと私は疑問に思う。
競馬の世界ではわずか数センチの差で勝ち負けが決まることも多い。G1のレースでもこういったことはあるのだが、その「ほんの数センチ」でG1を制した馬と負けた馬では実力差が大きいことが多い。
例えば、2001年の菊花賞で1着のマンハッタンカフェと2着のマイネルデスポットは、ゴール数メートルまでマイネルが先頭であったが、ゴール前にマンハッタンに差されてしまった。着差はわずかだが、その後の活躍ぶりには雲泥の差がある。マンハッタンカフェはその後、有馬記念と天皇賞(春)を勝ち、G13勝をあげたが、マイネルデスポットはG1を勝つどころか、他のレースで1勝もあげられずに引退している。(ほとんどが2ケタ着順)
2002年のこれもまた菊花賞であるが、1着のヒシミラクルと2着のファストタテヤマの着差はハナ差であった。ヒシミラクルはその後、天皇賞(春)と宝塚記念を制し、G13勝をあげているが、ファストタテヤマはその後の3年間でわずか1勝、しかもオープン特別で、G1はおろか重賞でも勝鞍はない。
2001年のNHKマイルカップで、1着のクロフネと、さきほどのマイネルデスポットのように、ゴールまであと数メートルのところで差された2着のグラスエイコウオウもその後の活躍に雲泥の差がある。クロフネはその後、ジャパンカップ・ダートを制し、最優秀ダートホースに選出されたのに対し、グラスエイコウオウはその後4年間走り続けたが、オープン特別1勝あげたのみにとどまっている。
たとえわずかの差であっても、負けるというのは詰めが甘いということ。それが数字上、わずかであってもあまり関係はない。特に上記のような競技はスピードを競うものなのだから、目に見えないミスが命取りになる。「惜しくない」ということは選手が一番良く分かっているはずだ。それを「運がなかった」のひとことで片付けてしまっては、それ以上の進歩はないし、バンクーバーでも同じ結果になってしまうだろう。次のオリンピックではこの経験や悔しさを生かして、リベンジを果たしてほしい。
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